毎月更新!時事コラム

第1711号(9月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「税制優遇で北方領土の開発を加速する」(8月16日、ロシアのトルトネフ副首相)――テレビ局のインタビューで。北方領土に海外からの投資を積極的に呼び込む考えを示し、「税制優遇を設けることで5年以内に大規模開発を推し進める」と話した。北方領土の再開発をめぐっては同国首相が7月、関税を免除する地域を設ける「特区構想」を表明しており、現地メディアは9月にも政府の正式発表があると報じている。トルトネフ氏は開発を急ぐ理由について「北方領土がロシアの土地だと示すためだ」と説明し、領土問題で譲らない姿勢を明確にした。北方領土は第二次世界大戦の末期に旧ソ連が占領して以降、ロシアによる不法占拠が続いている。

◆「コロナ禍の事業者支援に3千億円追加する」(8月17日、菅義偉首相)――記者会見で。緊急事態宣言の期限延長やエリア拡大にあわせ「3千億円の交付金を配分する」と発表した。対象となるのは、政府が5千億円の予算を組んで今年4月に創設した「地方創生臨時交付金(事業者特別枠)」だ。事業者特別枠は、各自治体の判断でコロナ禍の影響を受けた中小企業などに対する事業者支援や、感染防止のための見回り活動などに活用できるというもの。菅首相は新型コロナの新規感染者数が1日当たり2万人を超える状況を「まさに危機的」とし、飲食店には時短営業や酒類提供の停止などの継続を、その他の事業者に対してはテレワーク活用による出勤者の7割減を求めていく方針だ。

◆「中小企業の97%は増税の影響を受けない」(8月19日、米財務省のアディエモ副長官)――調査発表で。ポストコロナに向けてバイデン政権が提案している増税の影響について、「中小企業の97%は影響を受けない」とする調査結果を発表した。米政権はインフラ投資や子育て支援などに10年間で3兆5千億ドル(約380兆円)を投じる計画で、必要な財源は法人税率の引き上げや富裕層の所得に対する課税強化などで賄うとしている。増税対象は課税所得が50万9300ドル(約5600万円)以上の世帯など一定以上の収入がある富裕層に限るとして「(トランプ政権時代の)不公平な制度を改めるものだ」(アディエモ氏)と強調し、負担増を懸念している中小事業者の理解を求めた。

気になるニュースのキーワード

事業再構築補助金

 事業再構築補助金とは、コロナ禍で収入を減らした事業者の新たな取り組みを支援する国の補助金だ。最大で1億円を補助する。20年度中に5回の公募を予定しており、8月下旬には第3回目の受付が始まる。
 給付の対象となるのは、直近6カ月のうち任意の3カ月の売上高がコロナ禍以前と比べて1割以上減少している事業者で、①新分野展開、②事業転換、③業種転換、④業態転換、⑤事業再編――にかかる費用の3分の2を補助する。中小企業であれば給付の最低額が100万円のため、少なくとも150万円以上の投資が対象となる。
 第3回の公募要領では主に3点が変更された。1つ目が「最低賃金枠」の創設で、従業員の10%以上を最低賃金+30円以内で雇用している事業者などに対し、採択率を優遇したうえで補助率を4分の3まで引き上げる。2つ目は通常枠の増額で、従業員数に応じて最大1億円を支給する。第2回までは6千万円が上限だったが、最低賃金の引き上げの影響に配慮する。3つ目は申請要件の緩和で、売上高減少の判定期間を延長する。
 第1回目の採択結果によると、応募件数は2万2231件に上り、そのうち採択されたのは8016件(36.1%)だった。書類の不備などで審査要件を満たさないとして却下された企業は2992社と13.4%に及ぶ。

オリンピック小ばなし

五輪に忖度? 新株感染を非公表

 新型コロナの感染が再拡大するなか、7月に判明した国内初となる「ラムダ株」の感染者について、政府が五輪閉会前の8月6日まで公表していなかったことが分かった。米ニュースサイト「デイリービースト」は国立感染症研究所の職員による証言などをもとに「厚生労働省には五輪が終わってから公表する方針があった。日本政府はわざと国内向けのリリースから除外していた」と指摘し、意図的な隠蔽によるものだと糾弾している。
 国内初の感染を確認したのは7月20日で、ペルー滞在者の帰国後の検査で判明していた。8月18日の衆院内閣委員会で野党議員が公表の遅れを追及したところ、コロナ担当の西村康稔経済再生相は「国内では公表すべき変異株の対象に指定していなかったためだ」とし、あくまで正当な手続きにのっとった対応だったと主張した。
 しかし同日、感染者が搭乗していた機内の濃厚接触者リストを自治体などに共有していなかったことが発覚した。濃厚接触の疑いがある者に対し、保健所による健康管理や外出自粛の要請などがされていないままだった。
 ラムダ株は南米を中心に感染拡大している新型コロナの変異株で、重症化リスクが高いうえにワクチンの効力を低下させるとして世界中で警戒が強まっている。ペルーでの死者数は約20万人に上る。

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