毎月更新!時事コラム

第1715号(10月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「非喫煙者の75%が『たばこ税は社会に貢献』」(9月15日、モバイルリサーチのネットエイジア)――調査結果の発表で。10月に1年ぶり6度目となる増税が実施されたたばこ税をめぐり、喫煙者と非喫煙者それぞれ500人にアンケートを実施したところ、喫煙者の77.2%、非喫煙者の75.2%が「社会に貢献していると思う」と答えたという。たばこ税の税収は国税・地方税合わせて年間約2兆円に上り、使途が限定されない一般財源に充てられており、自治体が裁量をもって公共サービスの拡充やインフラ整備などに活用できる。こうしたたばこ税の使いみちについてまでは認知が広がっておらず、喫煙者の66%、非喫煙者の78%が、たばこ税が一般財源にあたることについて「知らなかった」と答えている。

◆「その声に、税理士」(9月27日、日本税理士会連合会)――プレス向けリリースで。オリジナル楽曲を乗せた動画広告などを通じて税理士の認知度向上に向けた広報活動を強化していくことを発表した。キャッチコピーは「その声に、税理士」。税理士会は「コロナ禍でリモートワークが増加していることもあり、副業やフリーランスといった様々なワークスタイルが今後も増加していく」ことから税理士業務の需要が高まっていくとしている。税金に関する相談先として想起されるよう周知に努めるほか、20代から30代の若年層を中心に税理士の資格取得を促すという。

◆「インボイス制度は税率変更によらない消費増税だ」(9月29日、全商連の岩瀬晃司副会長)――制度中止を求める集会で。10月に発行事業者の登録受付が始まったインボイス(適格請求書)制度の中止を求め、「税率変更によらない消費増税政策だ」と訴えた。インボイス制度が導入される2023年10月以降は、発行事業者以外との取引で消費税の仕入税額控除を受けることができなくなり、仕入で支払った消費税分だけ損することになる。しかし、課税売上高が1千万円以下の免税事業者は発行事業者として登録することができず、取引から排除されることが懸念されている。事実上、免税事業者には課税事業者への転換が迫られている状況だ。岩瀬氏は「世界62カ国・地域で消費税減税に踏み切っている」とし、インボイスの中止と消費減税を求めた。

気になるニュースのキーワード

金融所得課税

 金融所得課税は、株式の譲渡益や配当金といった金融所得に対して適用される課税制度を指す。他の所得と比較して低税率なため、「資産家に対する優遇だ」と批判を浴びてきた。このほど自民党総裁に選出された岸田文雄氏は税率を引き上げる方針を示しており、見直しに向けた議論が加速すると見られている。
 所得は給与や不動産、事業などその性質によって10種類あり、合算して税額を計算するのが原則だ。所得が多いほど税率が上がる累進課税が適用されており、課税所得4千万円以上になると最高税率の55%となる(住民税を含む)。
 例外的に他の所得と分けて課税されるのが、株式譲渡益や配当金などの金融所得だ。税率は一律20%(所得税15%、住民税5%)になっており、資産家の所得に占める金融所得の割合が高ければ高いほど税の負担割合が低くなる「逆累進」の特色がある。財務省によれば、2019年時点で所得が5千万円超~1億円の層の所得税負担率は27.9%だが、20億円超~50億円の層だと18.9%に下がっており、多くの金融資産を保有する富裕層に対して恩恵が大きくなっていることが分かる。
 資産家優遇税制として批判を浴びてきたにもかかわらず見直しが進んでこなかった背景には、株式市場への配慮がある。むやみに税率を上げれば投資家が海外市場へ転出する可能性があると指摘されている。

押さえておきたいIT用語

クラウドサービス

 クラウドサービスとは、インターネットを通じてさまざまなソフトウェアを利用できるサービスのこと。具体例としてはGoogleドライブやMicrosoft Office 365などが挙げられる。
 一般的なソフトウェアを利用するには、ソフトウェアを従業員それぞれのパソコン上にインストールしたり、個々のパソコンをネットワークに繋げるための基盤となるサーバの構築をしたりしなければならない。従業員の数が多ければ多いほど、担当する情報システム部門の作業負荷が増えることになる。
 一方、クラウドサービスはインターネットを使用できる環境さえ整っていればサービスを利用開始できるため、インストールなどの手間暇をかける必要がない。
 近年クラウドサービスが注目を浴びている背景には、インターネットさえあれば接続できることからテレワークなど多様な働き方に対応しやすいというメリットがある。またBCP(事業継続計画)の一環としても活用されている。大規模な災害などで自社オフィスが損害を受けたとしても、クラウド上でデータが管理されていることからスムーズに復旧できるためだ。
 デメリットとしては、提供会社のネットワーク障害によりサービスが停止するリスクがあるほか、一般的なソフトウェアと異なり自社開発でカスタマイズすることが難しい点などが挙げられる。

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