毎月更新!時事コラム

第1722号(12月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「日本の法人税率はまだ高い」(12月6日、経団連の十倉雅和会長)――記者会見で。岸田政権における税財政改革の方向性について問われ、「日本の法人税率は下がってきてはいるが、まだ高い水準である」との認識を示し、さらなる法人減税の必要性を示唆した。日本の法人税率は年々引き下げられており、1989年に基本税率40%(中小法人の軽減税率29%)だったものが、2021年時点では23.2%(同15%)まで縮小されている。ただ、財務省の公表資料によると、法人税のほか住民税、事業税など法人にかかるあらゆる税率を合計した日本の「法人実効税率」は29.74%となっており、19.00%のイギリスをはじめとした先進諸国と比較していまだ高い水準にあるとされている。なお、法人税の減税をめぐっては、減収分が消費税の増税で賄われているとの批判も上がっている。

◆「賃上げ税制の効果が限定的であることは間違いない」(12月10日、自民党の宮沢洋一税調会長)――記者会見で。与党の22年度税制改正大綱に盛り込まれた賃上げ税制の効果が一部の優良企業にとどまると批判が上がっていることについて、「効果が限定的なのは間違いない」と認めた。与党税制改正大綱では、法人税から差し引くことのできる金額を現行の賃金増加分の15%から大企業で最大30%、中小企業で最大40%まで引き上げる措置を2年間行うとされたが、国税庁の調査によれば日本企業の6割が赤字であり、税優遇の恩恵が受けられない企業が多数を占める。また、黒字企業でも納税額が少額であれば効果が薄い。

◆「現金10万円の一括給付も選択肢になる」(12月13日、岸田文雄首相)――国会の答弁で。18歳以下の子どもを対象とした10万円相当の給付について「年内にも現金で一括給付することも選択肢の一つだ」との考えを示し、これまで5万円分の「クーポン券」と5万円の「現金」で分けて支給するとしてきた方針を一転した。クーポン配布は安倍政権が一律10万円を支給した「特別定額給付金」で多くが貯蓄に回ったことを踏まえた消費を促すための措置とされるが、967億円もの追加の経費が必要になることに批判の声が上がり、また運営コストがかさむため各自治体からも全額現金での給付にすべきとの声が相次いでいる。

気になるニュースのキーワード

文書通信交通滞在費

 文書通信交通滞在費(文通費)とは、電話代や郵便代、交通費、滞在費などの名目で国会議員に毎月支給される公費のこと。国会議員の給与やボーナスに当たる「議員歳費(年間約2100万円)」とは別に、文通費は毎月100万円(年間1200万円)が支給されている。税金がかからないことから実質的に議員歳費並みの実入りになるうえ、領収書の添付義務や使途の報告・公開義務がなく、目的外の使用に対する罰則も設けられていないことから、国会議員の「第二の給与」「議員特権」などと呼ばれている。
 10月31日投開票の衆院選で初当選した議員に対して月内1日の在職にもかかわらず月額の100万円が満額支給され批判が集まった。与党は在職日数による日割りでの支給に改める議論を進める方針だが、立憲民主党や日本維新の会などからは「日割り支給に変えるだけでは新人議員の最初の月と落選議員の最後の月にしか効果がなく、根本的な問題の解決にならない」として、領収書の添付義務付けをはじめとした抜本的な改革を行うよう促されている。
 文書通信交通滞在費の適正化に向けた議論は従来から行われてきた。2001年には衆院議長から諮問を受けた有識者会議が、領収書を添付した使途報告書を公開すべきとの答申をまとめているが、現在に至るまで放置されてきた。

押さえておきたいIT用語

プラットフォーマー

 プラットフォーマーとは、インターネット上でサービスを提供する企業とその利用者を結び付けるための基盤となるシステムなどを運営する事業者のことを指す。「基盤」を意味するプラットフォーム(platform)に由来する。
 代表的なプラットフォーマーとしては、検索エンジンのGoogleや、MacBookなどデジタルデバイスのApple、SNSのFacebook、ネットショップのAmazonがあり、4社それぞれの頭文字をとって「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる。国内では個人間でモノの売買ができるメルカリやソーシャルゲームのディー・エヌ・エー(DeNA)などがある。
 プラットフォーマーのビジネスモデルは、顧客となる事業者にビジネスの場(基盤)を提供し、手数料や会費を受け取るというもの。事業者にとっては低コストで事業を始められるというメリットがあり、ユーザーにとっては多数の事業者が集まる基盤のなかで幅広い品ぞろえの商品群から選択できる利点がある。
 問題点として、プラットフォーマーが独自の基盤で市場を独占することによりほかの企業が新規参入しにくくなるという点が指摘されている。また、タックスヘイブンを利用した課税逃れなども国際的な問題となっており、デジタル課税の導入をはじめ、プラットフォーマーを規制する動きが世界各国で広がっている。

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