毎月更新!時事コラム

第1723号(1月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「雇用調整助成金を政治団体が受給するのは不適切だ」(12月10日、自民党の世耕弘成参院幹事長)――記者会見で。石原伸晃元自民党幹事長が自身の政治団体で3度にわたってコロナ対策の雇用調整助成金を受給していたことについて、「制度の趣旨に鑑みると政治団体の受給は適切ではない」との見解を示した。雇用調整助成金のコロナ禍の特例措置では、ひと月の収入が前年比5%減少していれば受給要件を満たす。石原氏は「(収入が下がり受給要件を満たした)公正な手続きにのっとった受給だ」と説明しているが、世耕氏は政治団体の収入について「コロナに関係なく変動はある」と指摘したうえで、「しっかりと国民に説明すべきだ」と注文をつけた。

◆「反日の展示に税金を使ってはダメでしょう」(12月13日、名古屋市の河村たかし市長)――名古屋地裁で。愛知県で「表現の不自由展・その後」などを企画運営していた芸術イベントの実行委員会が名古屋市に負担金の支払いを求めている裁判で、市の証人として出廷した河村市長は「反日プロバガンダと言われている展示に市民の税金を使ってはダメでしょう」と主張した。同イベントでは昭和天皇の肖像を燃やす様子を含んだ映像作品や従軍慰安婦を模した少女像などが出展され、展示内容を問題視した河村市長が市の負担金約1億7100万円のうち未払いだった約3380万円を支払わないことを決めている。実行委員会の会長は愛知県の大村秀章知事が務めている。

◆「インボイス制度はフリーランスの生き方を否定する制度だ」(12月16日、フリーランス・個人事業主の市民の会の小泉なつみ代表)――記者会見で。インボイス制度の廃止を求める個人事業主ら3万1570人の署名を財務省に提出し、「フリーランスの生き方や尊厳を踏みにじる制度だ」と主張した。インボイス制度が始まると、免税事業者は実質的に課税事業者への転換が迫られ、売上に含まれる消費税を納めなければならなくなる。小泉氏は「私であれば年間で1カ月分の手取り収入が減り、とても厳しくなってしまう」と訴えた。もっとも、消費税が納税されずに事業者の利益になってしまう現行の事業者免税点制度は不公平であるとして、是正を求める声もあがっている。

気になるニュースのキーワード

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例は、原則として耐用年数に応じて毎年費用を計上しなければならない建物や機械、ソフトウェアなどの減価償却資産について、取得価額が30万円未満であれば購入した事業年度に全額を損金算入できる制度だ。1事業年度に300万円まで特例を利用して費用計上できる。
 特例の適用が認められるのは、①青色申告法人であること、②常時使用する従業員の数が500人以下であること、③連結法人にあたらないこと、④適用除外事業者に該当しないこと―といった要件を満たす中小企業だ。
 特例を利用した節税スキームとして、適用範囲内の金額でドローンを購入することにより損金を増やしたうえで、ドローンをリース物件として貸し出してレンタル料の収入を見込む「ドローン節税」が用いられてきた。しかし2022年度の与党税制改正大綱では、特例の対象から貸付用の資産を除外する案が盛り込まれ、実質的に規制されると見込まれている。
 大綱では、22年3月末までとしていた特例期限を2年間延長することも盛り込まれた。
 なお、特例を適用していなくても、資産の取得価額が10万円未満であれば「消耗品費」などの勘定科目を用いて一度に全額を経費処理できる。また、耐用年数が1年未満の資産も全額を経費に算入可能だ。

押さえておきたいIT用語

IT導入補助金

 IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツールを新たに導入するにあたり、必要経費の補助を受けることができる経済産業省の補助金だ。補助対象には、ソフトウェアやクラウドサービスといった製品そのものの費用のほか、サポートや設定にかかる導入費用も含まれる。通常枠の補助率の上限は2分の1で、最大で450万円が支給される。
 2020年からは新型コロナウイルス感染対策として「低感染リスク型ビジネス枠」が新設され、PCやタブレットといったハードウェアのレンタル費用も補助対象に含まれるようになった。また、補助率の上限も3分の2まで拡大した。通常枠と異なる要件として、テレワーク環境の整備など業務やサービスの非対面化を進めることが求められる。
 補助金の申請にあたっては、経済産業省が認定する「IT導入支援事業者」に依頼して採用するITツールの選択や導入、運用の説明を受けたうえで、補助金の交付申請や実績報告、業務支援などのサポートを受ける必要がある。
 21年は12月22日の最終締め切りまで5回に分けて公募された。すでに交付が決まった第4次締め切り分では、8838件の申請に対して5311件が採択され、採択率は約60.1%となった。
 政府の21年度補正予算案では22年の再実施が予定されている。インボイス制度への対応を促すため、補助率の引き上げなどを行うという。

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