毎月更新!時事コラム

第1727号(2月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「アベノマスクはどう転んでも税金を浪費する愚策」(2月3日、立憲民主党の小川淳也政調会長)――記者会見で。政府が新型コロナウイルス対策で調達した布製の「アベノマスク」の在庫処分を巡り受取希望者への配送を検討していることについて、「配送でまた多額の税金がかかる。愚策と言わざるを得ない」と批判した。マスクは約8千万枚の在庫に対して推計2億8千万枚分の配布希望が寄せられているというが、厚生労働省の試算によると配送費は10億円に上る見込みで、焼却処分費用の6千万円をはるかに超えるという。小川氏は「(多額の税が浪費されるのに)誰も責任を問われないのか」と責任の所在を追及していく姿勢を示したが、鈴木俊一財務相は同日の国会答弁で「税の使われ方は問題なかったと考えている」と答えていた。

◆「免税事業者をつぶすインボイスに断固反対」(2月3日、日本出版者協議会の水野久会長)――ホームページ上で発表した声明で。2023年10月に始まる消費税のインボイス制度について、「出版物の制作に携わる人々だけでなく、多くの事業者への負担を増大させる。制度に反対し、実施の中止を求める」と宣言した。インボイス制度のもとでは、適格請求書(インボイス)の発行事業者以外との取引では仕入税額控除が受けられなくなるが、免税事業者は発行が認められていない。実質的に発注元の企業が消費税分の税額控除を諦めるか、あるいは免税事業者が課税事業者に転換するかの選択が迫られるため、「これまで免除されていた消費税を、業者間で押し付け合いをさせた上で、確実に取り立てる制度だ」と批判した。

◆「賃上げ税制の効果はなく実質賃金はマイナス」(1月30日、日本共産党の田村智子政策委員長)――テレビ番組で。安倍政権が導入し、岸田政権も推し進めている賃上げ税制について、「法人減税額は2兆円を超えたものの、実質賃金ではマイナスになっている」と批判した。共演していた自民党の高市早苗政調会長は「大企業にとっては一定の効果がある」としてアベノミクスによる成長戦略を支えてきたとの見方を示したが、田村氏は「大企業はもともと内部留保をためこんできた。中小企業の社会保険料軽減など格差を是正するための政策を優先すべきだ」と反論した。

気になるニュースのキーワード

事業継続計画

 事業継続計画(BCP)とは、自然災害やテロ攻撃といった緊急事態の経営リスクに備えて、企業があらかじめ対応方法や手順を取り決めておく計画のこと。策定・運用のために取り組むべき項目として中小企業庁は、①優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する、②緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく、③緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客とあらかじめ協議しておく、④事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく、⑤全ての従業員と事業継続についてコミュニケーションを図っておく―の5点を挙げている。運用体制の確立により、緊急時の事業の復旧を早めることに加え、取引先や市場からの信頼を得て事業拡大にもつながるとしている。
 日本政策投資銀行によると、国内でBCP策定への機運が高まったのは2001年9月の米同時多発テロがきっかけだといい、その後も東日本大震災などを経て策定率は上昇したと見られているが、帝国データバンクの調べでは21年時点の策定率は17.6%にとどまっている。
 コロナ禍では策定済みの企業においても自然災害を前提とした既存のBCPが通用せず、見直しの必要性が浮き彫りになった。総務専門誌「月刊総務」によるとBCPが「十分に機能した」と答えた企業の割合は3割程度にとどまっている。

押さえておきたいIT用語

NFT

 NFTとは、画像や音声などの電子データに替えのきかない識別情報をもたせ、商品としての希少性や唯一性を与えようとするデジタル技術を指す。Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略語。
 インターネット上で売買されるアート作品やアイドルのトレーディングカード、声優の声などで実用化されている。従来のデジタル作品は、簡単に複製ができるうえインターネットを通じて再配布が可能なため、大きな資産価値を与えることは難しかった。しかしNFTを活用したデジタル作品では、最初の購入者から現在の所有者に至るまでの取引履歴が記録されて商品としてオリジナル性の担保が可能になるため、複製品では代替できない世界で唯一の作品として価値が証明される。
 売買は「NFTマーケットプレイス」という専門のウェブサイトを通じて行われる。決済は仮想通貨を通じて行われるため、専用の口座を用意する必要がある。
 作品が二次流通されると制作者に対しても一定の報酬が還元される仕組みになっており、買い手のみならずアーティストの権利保護にもつながる。
 2021年9月には、日本の小学3年生の男子児童が夏休みの自由研究で制作したNFTのアート作品が240万円で購入されて話題となった。米データ会社Chainalysisの調べによると、21年のNFTの取引総額は4.7兆円に上るという。

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