毎月更新!時事コラム

第1729号(3月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「コロナ対策における国の税金の使い方を考え直さなければならない」(2月14日、宮城県の村井嘉浩知事)――記者会見で。コロナ禍の時短営業要請に応じた飲食店向けの協力金に国の財源が充てられていることについて「他に効果的な使途を模索すべき」と述べ、国に対して制度の見直しを求めた。村井氏によると、オミクロン株によるコロナ感染の第6波における飲食店由来のクラスターは、宮城県内では全体の5%に過ぎないと言う。「重点措置で飲食店に時短要請しても効果が出ていないのが実情だ」と指摘した。

◆「なぜ脱税になったのか理解できていない」(2月15日、日本大学前理事長の田中英寿被告)――東京地裁の初公判で。日本大学板橋病院の背任事件を巡り所得税およそ5200万円を脱税した罪について、「争う気はありません」と起訴内容を認めながらも、悪意がなかったことをうかがわせた。しかし裁判で検察が主張したところによると、田中被告は受け取った金を所得から除外して申告するよう妻に指示したうえ、隠した所得は金融機関に預けずに自宅で保管しており、はじめから脱税の意図があったと見られている。日大の元理事・井ノ口忠男被告(昨年11月に背任罪で起訴)を通じて大学関連の取引業者から受け取ったリベートなど計約1.2億円が無申告だった。

◆「カナダのデジタル課税を撤回させるためにあらゆる手段を検討する」(2月22日、バイデン米大統領)――米通商代表部の声明で。大手IT企業に「デジタルサービス税」を課すことを決めたカナダ政府に対して撤回を要請したうえで、応じない場合には制裁関税の発動をはじめ、貿易協定や国内法に基づく各種経済措置を講じる用意があると表明した。カナダは米グーグルやフェイスブックなどカナダに拠点を持たずに莫大な収益を上げる外資のIT企業に対し、モバイルアプリやオンラインゲームといったデジタルサービスによる売上に課税する法案を2020年に発表しており、現在は最終調整が進められている。米通商代表部は声明で、経済協力開発機構(OECD)加盟国が昨年合意した新たな国際課税ルールを受け入れるよう促した。新ルールは、多国籍企業の利益の一部を売上に応じて各国に配分する仕組みとなっている。

気になるニュースのキーワード

オルタナティブ・ファイナンス

 オルタナティブ・ファイナンスとは、インターネット上の基盤を通じて資金提供者・投資家と資金需要者をマッチングさせる金融サービスのことを指す。「補完金融」とも呼ばれている。代表例としては、インターネットを通じて出資者を募る「クラウドファンディング」や、金融機関を介さずに貸し手と借り手を直接つなぐ「P2Pレンディング」、投資家と企業をマッチングする「ソーシャルレンディング」などがある。
 銀行融資や債権発行といった従来の金融手段よりも早く借り入れ可能なことなどから、コロナ禍で利用が広がった。英ケンブリッジ大学の調査によると日本における市場規模は2020年に約1300億円と前年比1.9倍に増加したという。貸し手にとっては他の金融商品と比較して大きなリターンが見込めるといったメリットがある。
 昨年末にはクラウド会計のマネーフォワードと三菱UFJ銀行がオンラインで完結するファクタリングサービスを開始した。数万円から数億円まで幅広い資金需要に対応し、最短2日程度で現金化できるとして話題となった。クラウドファンディング大手のCAMPFIREも地方銀行との業務提携による資金援助やPR支援を始めた。
 課題としては貸し出す側の与信管理の難しさが挙げられており、昨年5月には金融大手のSBIが多額の焦げ付きなどを理由にソーシャルレンディング事業からの撤退を決めた。

押さえておきたいIT用語

シェアリング・エコノミー

 シェアリング・エコノミーとは、個人や企業が所有するモノや不動産、スキルといった有形・無形の資産を、インターネット上のサービス基盤を介して取引する仕組みのことを指す。不特定多数の人々による遊休資産の活用・共有を促すビジネスモデルであり、「共有経済」とも呼ばれている。
 総務省によると取引対象となる資産は5つの領域があり、①空間、②スキル、③移動、④お金、⑤モノ――に分類されている。代表的なサービスとしては、飲食店と料理の配達員をマッチングする「ウーバーイーツ」や個人間のモノの売買を仲介する「メルカリ」、駐車スペースレンタルの「アキッパ」などがある。
 ITで先行するシリコンバレーにおける流行をきっかけに市場が成長を続けている。PwCによると、調査を始めた2013年時点では世界で約150億ドルだった市場規模が、25年には約3350億ドルに拡大する見込みだ。
 国内市場は21年度に過去最高の2兆4198億円に達し、30年度には14兆2799億円に膨らむ見通しとなっている(シェアリングエコノミー協会調べ)。コロナ禍における在宅時間の増加や副収入のニーズの高まりを受けていっそう需要が高まったという。
 多額の利益をあげる個人が出てきているなか、国税庁は申告漏れの懸念が高まっているとして、調査体制の強化に乗り出している。

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