毎月更新!時事コラム

第1733号(4月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「消防士や教師は富裕層の倍以上の税率だ」(3月28日、米国のバイデン大統領)――予算教書で。現行の税制について「中間層よりも低い税率になっている富裕層には応分の負担を求める必要がある」と指摘し、1億ドル(約122億円)超の資産を持つ富裕層への課税強化や法人税率の引き上げを提案した。予算教書によると、1億ドル超の資産がある層の所得に課されている実質的な税率は8%程度となっており中間層の半分以下にとどまるという。バイデン氏は富裕層に対し、「金融所得を含むあらゆる所得に対し、少なくとも20%課税する」との方針を打ち出した。2021年にもバイデン氏は超富裕層の金融所得に対する課税強化を提案していたが、野党のみならず与党・民主党内からも反発が相次ぎ頓挫している。

◆「物価高騰に対応できないのは現行の年金制度の欠陥だ」(3月28日、日本共産党の田村智子副委員長)――参院決算委員会で。全国の世帯が購入する財やサービスの価格を総合した「消費者総合物価指数」が前年比6カ月連続で増加し、さらにロシアによるウクライナ侵攻でエネルギーや穀物価格の高騰が見込まれることを踏まえ、「これほどの物価急騰のときに年金支給額を減らすのか」とただした。現行の年金制度では、物価変動率が賃金よりも上昇しても年金は減少する仕組みになっており、2022年度の公的年金額は前年度から0.4%引き下げられ、2年連続の減少となる。岸田文雄首相は「将来世代の負担を見据えバランスを保つために必要だ」と答えたのに対し、田村氏は「年金生活者に5000円の臨時給付金の検討をしていたのと筋が通らない」と指摘した。

◆「交通税の導入で公共交通を守る」(3月24日、滋賀県の三日月大造知事)――記者会見で。鉄道やバスといった公共交通機関の維持に必要な財源について、人口減少やコロナ禍の影響により「利用者の負担で賄うのは難しくなっている」と述べ、交通税の導入を目指す意向を示した。2024年度以降の導入を目指すとしており、実現すれば全国初となる。県はこれまで赤字路線を運営する交通事業者らを補助金の支給などで支えてきたが、事業者の経営環境の悪化に歯止めがかからなかった。目的税化により「公共交通に関心を持つ県民が増える」としている。

気になるニュースのキーワード

クラウド会計ソフト

 3月末に公募が始まったIT導入補助金では、2023年に始まるインボイス制度を見据えてクラウド会計ソフトの導入を支援する「デジタル化基盤導入類型」が新設された。クラウド会計ソフトは、インターネット上でデータを入力・保存・管理可能な会計ツールだ。一般的な会計ソフトと異なり、インターネットに接続できれば利用を開始できる特徴がある。
 クラウド会計ソフトを使用するメリットとしては、ソフトのメンテナンスやバージョンアップといった作業はシステム会社が行うため、維持管理の手間が省ける点が挙げられる。また、入力したデータはサービス提供会社のサーバー上に保存されるため、パソコンが壊れてしまってもデータに影響は及ばず、バックアップや復元のコストが不要だ。データにはインターネットを通じてアクセスするため、テレワーク中の従業員や顧問税理士とも入力した情報をリアルタイムで共有できる。
 近年はクラウド会計ソフトのインターネットを介する特徴を生かした多機能化も進んでいる。具体例としては、ネットバンキングやクレジットカードと連携して取引の履歴を取り込み自動的に仕訳するサービスや、領収書やレシートなどの撮影により仕訳の入力が行われる機能、リアルタイムな財務レポートの発行などがある。

押さえておきたいIT用語

海底ケーブル

 海底ケーブルとは、大陸間や島々の通信環境を繋ぐために海底に敷設された通信ケーブルのことを指す。国際的なインターネットの高速・大容量の通信サービスを実現するうえで、衛星やマイクロ波、Wi-Fiといった無線通信を利用しているのは全体の1%程度に過ぎず、ほとんどは海底ケーブルによる有線の情報伝達となっている。
 3月に開催された欧州電子通信担当大臣会合では、ウクライナ侵攻を続けるロシアが経済制裁に反発して海底ケーブルを破壊する懸念があると指摘された。ロシア船による海底ケーブルの損壊は過去にも取り沙汰されており、2017年には国際金融システムに一時的な停電が発生した事例もあるという。
 海底ケーブルの損壊が及ぼす影響は大きい。1月に海底火山の大規模噴火があったトンガでは、噴火の影響で切断された海底ケーブルの復旧に5週間かかった。修復されるまでの間は人工衛星による通信を代用していたものの、高速通信サービスは利用できず、現地の被災状況が伝えられない状況が続いた。
 大陸同士を結ぶため、最長で1万キロメートルを超えるケースもあるなど伝送距離は極めて長い。太平洋を横断し日本と米国を結ぶ海底ケーブルは約9000キロメートルに及ぶ。世界初の海底ケーブルは1850年代にイギリス・フランス間を結ぶドーバー海峡に敷設されたものとされている。

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