毎月更新!時事コラム

第1734号(4月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「ESGに取り組む企業の税負担軽減を要望していく」(4月5日、信託協会の長島巌会長)――就任記者会見で。環境や社会の課題解決といった「ESG」に取り組む企業の支援に注力する方針を示し、「ESGへの取り組みを損金として認める仕組みなどを税制改正で提案していく」と話した。ESGは環境・社会・企業統治の3つの観点から企業を評価する投資指標だが、近年は中小企業の将来性を判断し、また経営改善に取り組むための観点としても注目を集めており、金融機関の融資審査などで活用され始めている。長島氏は損金にする取り組みの具体例として、企業のESG経営の成果を役員報酬算定に採用するケースを挙げている。

◆「危機に瀕する国民生活を守るには時限的な減税が不可欠」(4月8日、立憲民主党の泉健太代表)――記者会見で。立民が独自に取りまとめたという総額21兆円の「緊急経済対策」を発表し、「コロナ禍と物価高騰と戦うために必要な生活安全保障対策だ」と説明した。経済対策には、消費税率の5%への引き下げやガソリン税の減税など時限的な減税が盛り込まれている。SNS上では「消費減税は景気回復を目指す上でも優れた政策」と賛同する意見が挙がる一方、「参院選前の票稼ぎではなく現実味のある提言がほしい」と実現性に疑問を呈する声も見られる。緊急経済対策では減税以外の施策として、低所得世帯への5万円給付、事業復活支援金の拡充、中小企業の債務減免措置、インボイス制度の廃止などが盛り込まれた。

◆「文通費の使途公開について今国会で結論を出す」(4月8日、公明党の石井啓一幹事長)――記者会見で。国会議員に対して毎月100万円が支給される「文書通信交通滞在費(文通費)」の見直しを巡り、日割り支給への変更で意見がまとまったとしたうえで、「使い道の公開のありかたや、未使用分の国庫返納など、残る課題についても今国会での合意を目指していきたい」と述べた。文通費は実質的に議員歳費並みの実入りになるうえ、領収書の提出義務がないことから、国会議員の「第二の給与」と呼ばれ批判を集めてきた。2月から与野党の協議会で制度の見直しが始まっているが、3月末時点では名称や目的の変更で決着する見通しとなっていた。

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成年年齢

 成年年齢とは、民法上、単独で法律行為が行えるようになる年齢を指す。日本では1876(明治9)年の太政官布告以来20歳と定められてきたが、約140年ぶりに見直され、4月1日からは18歳に引き下げられている。
 18歳、19歳の人も民法上の「成年」となり、親権者の同意がなくても単独で有効な契約を結ぶことができるようになった。具体的には、アパート・マンションの賃借やクレジットカードの作成、ローンの借り入れ、携帯電話の購入などが可能だ。権利が拡大する一方、親の同意がない契約を取り消す「未成年者取消権」の行使が不可能になるというリスクがある。
 税制上のメリットとしては、成人年齢以上の子や孫が贈与税の優遇を受けられる「特例税率」や、贈与額2500万円まで納税を繰り延べられる「相続時精算課税」の適用開始年齢が早まり、相続の生前対策に2年前倒しで着手できるようになる。一方デメリットとしては、成人年齢までの年数1年につき10万円が控除できる相続税の「未成年者控除」で控除可能な上限額が2年分少なくなる。
 なお、競馬や競輪、オートレースといった公営ギャンブルや大型・中型自動車運転免許の取得、飲酒、喫煙などは個別の法律で年齢が定められているため、成年年齢の引き下げは影響せず、対象は20歳以上のままとなっている。

押さえておきたいIT用語

スターリンク

 スターリンクは、人工衛星を経由してインターネット環境を提供する通信サービスだ。世界的な大富豪イーロン・マスク氏の米宇宙開発企業「スペースX」が手掛けている。ロシア軍の侵攻により通信インフラが破壊されたウクライナで活用が進み、注目を集めている。 高度約550キロメートルの「地球低軌道」に打ち上げた通信衛星を活用し、世界中のどこでも高速インターネットが使えるようにする仕組み。ネット回線が繋がりにくい過疎地や山間部、砂漠といったエリアで利用が想定されている。また、従来の無線通信を中継する「基地局」が地震や台風などの大規模災害により停止したときの代替手段としても活用が進み、1月には海底火山の噴火で通信インフラが破損したトンガでも用いられた。
 2021年時点で約2500基の人工衛星が放たれており、17カ国でサービスが提供されている。将来的には約1万2000基を打ち上げることで、世界中で活用できるようになるという。
 もっとも、同社によればすでにほぼ全世界でサービス提供が可能な状態にあり、各国の許可を待っている段階という。3月にはウクライナ政府の要請を受け、同国でのサービス提供と支援を始めた。
 日本では通信企業のKDDIがスペースXと業務提携を結んでおり、2022年中のサービス開始を予定する。

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