毎月更新!時事コラム

第1735号(5月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「コロナ予備費はもはや政府の掴み金だ」(4月22日、立憲民主党の泉健太代表)――記者会見で。政府が物価高騰の緊急対策に2022年度予算の予備費1.4兆円を活用する方針を固めたことについて、「国会軽視だ」と批判した。予備費は国会の審議を経ずに政府の判断で使用できる経費で、22年度当初予算では一般予備費5000億円、コロナ対策予備費5兆円を計上している。今回の緊急対策では、ガソリン価格高騰を抑えるための補助金拡充などに一般予備費から4000億円超を充てたうえで、コロナ対策予備費の使途を拡大し1兆円超を原油高・物価高対策に活用するという。泉氏は「なんでも予備費になってしまっては国会の監視がきかず、財政民主主義違反だ」と強調した。他の野党からも批判が上がっており、日本維新の会の藤田文武幹事長は「選挙前のバラマキになっている」と指摘した。

◆「税の引き下げより補助金の方が合理的」(4月20日、石油連盟の杉森務会長)――記者会見で。ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除が先送りになったことについて、「補助金での処置ならば柔軟な対応が可能だ」と支持する立場を表明した。トリガー条項とは、ガソリンの平均小売価格が規定の金額を超え続けた場合に、小売価格の引き下げを目的としてガソリン税の一定額を課税停止する制度だ。2010年度税制改正で導入されたものの、東日本大震災の復興財源確保のため2011年以降は凍結されている。杉森氏はトリガー条項を凍結解除した際の影響について「一気に価格が下がり店頭や物流に大きな混乱が生じる」と指摘した。

◆「景気が悪いときに消費税を上げる国なんてない」(4月18日、れいわ新選組の山本太郎代表)――記者会見で。日本の経済成長が低迷した「失われた30年」のなかで消費税を段階的に引き上げてきた政府について「自国民に経済制裁を加えるようなもので、普通はありえない」と批判した。政府は消費増税の目的を少子高齢化により膨らむ社会保障費の補填と説明しているが、山本氏は独自のデータをもとに「法人税収の減少分の穴埋めに消費税の73%が使われている」と指摘したうえで、「実際には法人減税による税収減の補填に使われてきた。資本家のために作られたのが消費税だ」と断じた。

気になるニュースのキーワード

交際費課税の特例措置

 交際費課税の特例措置とは、本来であれば損金算入が認められていない交際費につき、例外として企業規模に応じた一定額まで経費にできる制度だ。適用期限は今年の3月末となっていたが、2022年度税制改正により2年間の延長が決まった。
 損金算入可能な額は企業の資本金により線引きされている。1億円以下の中小企業であれば、1年間に支出した飲食費の50%もしくは交際費の800万円を限度に経費計上が可能だ。また、資本金1億円超~100億円以下の企業の場合は飲食費の50%に限って損金算入できる。資本金が100億円を超える企業は特例措置の対象に含まれない。
 特例措置の対象となる交際費の定義は、国税庁のタックスアンサーによれば「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、慰安、贈答その他これらに類する行為」のために支出するものをいう。具体的には、取引先を接待した際の飲食費や「お土産代」「お車代」などが該当する。
 交際費は原則として全額が損金不算入だが、1人あたり5千円以下の飲食代であれば交際費の対象から除外され、特例措置に関係なく全額が損金算入できる(資本金100億円超の企業を除く)。
 政府によると、企業の交際費は1990年代初頭では約6兆円に上っていたものの、近年は3兆円前後まで半減しているという。

押さえておきたいIT用語

BYOD

 BYODとは、社員が個人で所有しているノートパソコンやスマートフォン、タブレットといった電子端末を業務上でも利用する仕組みを指す。Bring Your Own Deviceの略で、「ビーワイオーディー」と読む。BYODの具体例としては、自宅のパソコンを使ったウェブ会議や資料作成、私用の携帯電話を用いた取引先との連絡などが挙げられる。
 BYODでは企業が端末を用意せずに済むため、導入・維持費が節約できるメリットがある。また、従業員がそれぞれ使い慣れた端末を用いるため、システムの初期設定やエラー対応といったコストが発生しづらく、情報システム担当者の負担も抑えられる。
 一方、デメリットとしては従業員のプライベート端末を用いることによるセキュリティー上のリスクが挙げられる。従業員がウイルスソフトの導入やシステム更新を怠っていれば、サイバー攻撃の被害にあう可能性が高まる。また、顧客データの入ったノートパソコンやスマートフォンを紛失すれば情報漏洩に繋がる。
 働き方改革やコロナ禍を受けてBYODを始める企業が増えるなか、政府はセキュリティー対策を促す。総務省が公表する「テレワークセキュリティガイドライン」では、インターネット上でデータを一元管理する「クラウド型アプリ方式」など、企業が導入できる6つの施策を示している。

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