毎月更新!時事コラム

第1758号(12月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「法人増税すると中小企業の賃上げが遠のく」(12月6日、日本商工会議所の小林健会頭)――記者会見で。政府が防衛力強化の財源を法人増税により賄う案を検討していることについて、「しゃくし定規に増税されるとなると中小企業に及ぶ影響は深刻だ。ただでさえ賃上げの原資などいろいろ足りていない中、各社の投資活動にさらに水を差してしまう懸念がある」との見解を述べた。政府は有事のリスクが高まっているとして防衛費を従来の約2倍に増やす計画を掲げており、必要となる財源は歳出改革や剰余金、そして増税により賄う方針だ。小林会頭は「国を守る費用なので恒久的な財源にすべきなのは承知している」としつつも、「法人増税ばかり語られている」と釘を刺した。

◆「金融所得課税を強化する前に、投資促進に注力すべき」(12月4日、木原誠二官房副長官)――テレビ番組で。政府・与党が金融所得に対する課税強化を検討していることについて、「政権が打ち出している投資促進策と逆方向の改正プランを出すのはどうなのか」と否定的な考えを示した。政権が2023年度税制改正で実現を目指しているNISA(少額投資非課税制度)の拡充・恒久化は「投資を低・中所得者にも浸透させようという取り組みのはずだ」と指摘したうえで、「今回NISAを拡充するのであれば、逆ベクトルとなる金融所得の課税強化は打ち出さない方がいい。政策は順番に行った方が定着する」と主張した。

◆「関西万博の建設予算は上振れするだろう」(11月30日、関西経済同友会の生駒京子代表幹事)――記者会見で。2025年4月に開幕予定となっている大阪・関西万博の建設予算について、「資材価格の高騰により上振れするだろう」と述べた。建設費は大阪府・市と経済界、国がそれぞれ3分の1ずつ負担する。国は当初1250億円程度と見込んでいたが、会場の設計変更などにより20年12月には1850億円に増額した。そして現在、ウクライナ問題に起因する資材の供給不安や最賃引き上げによる人件費の高騰などを受け、増額後の予算内に収めることさえ困難な状況となっている。西村康稔経済産業相は「予算内に収めるよう努力する」としているが、生駒氏は「資材価格は元に戻りにくい。建設費は今後さらに上がるだろう」と見通した。

気になるニュースのキーワード

仕入税額控除

 仕入税額控除とは、仕入先に支払った消費税額を、消費税の申告時に控除できる仕組みのこと。来年10月に始まるインボイス制度により、原則として免税事業者からの仕入分については適用不可能となる。
 消費税の納税額は、売上時に受け取った消費税額から仕入税額控除額を差し引いたあとの残額となる。仮に課税期間中に売上先から受け取った消費税が100円、仕入先へ支払った消費税が20円であれば、20円を仕入税額控除した差額の80円を納めればよい。差額がマイナスであれば還付を受けることも可能だ。
 仕入税額控除の対象となる支出は、事業のために必要なもの(課税仕入)に限られる。具体例として国税庁は、①商品などの棚卸資産の購入、②原材料等の購入、③機械や建物、車両等の購入または賃借、④広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払、⑤事務用品、消耗品、新聞図書などの購入、⑥修繕費、⑦外注費――を挙げている。
 インボイス制度では、登録番号や税率を記載した適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除を受けるための要件になる。免税事業者はインボイスを発行できない仕組みになっているため、日本税理士会連合会ほか各種業界団体は、発注側の企業が免税事業者との取引を敬遠するようになるおそれがあると指摘している。

押さえておきたいIT用語

スマートウォッチ

 スマートウォッチとは、手首に装着して利用できる腕時計型のコンピューター機器のこと。コンピューター制御システム(OS)やタッチスクリーン、スピーカー、通話用マイク、バイブレータ、操作ボタンなどさまざまなパーツが搭載されており、一般的な腕時計よりも多機能となっているのが特徴だ。特に健康管理に役立つ機能を多く備えていることから、コロナ禍による健康意識の高まりを受けて市場は急拡大しており、2021年度の国内販売台数は343.2万台と前年比49.6%増となった。代表的な製品には、アップル社の「アップルウォッチ」や、グーグル社の「グーグルピクセルウォッチ」がある。
 スマートウォッチの機能は、スマートウォッチ単体で使えるものと、スマートフォンに連携して使えるものがある。単体では、一般的な腕時計としての機能に加え、①心拍数の測定、②血圧の計測、③歩数の記録―などが可能だ。そしてスマートフォンに連携すると、④1日の運動量や消費カロリーの計算、⑤睡眠の深さの計測、⑥スマートフォンに保存されているメールや画像の確認、⑦音楽アプリの再生、⑧Suica、iDなどによる電子決済――とより多くの機能を活用できるようになる。
 なお、スマートウォッチと同様の機能を持つ眼鏡型のコンピューター機器のことは「スマートグラス」と呼ぶ。

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