毎月更新!時事コラム

第1759号(1月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「インボイス制度に対する要望は受け入れられた」(12月16日、日本税理士会連合会の神津信一会長)――2023年度与党税制改正大綱に対する公表コメントで。インボイス制度の開始を前に新たな経過措置が盛り込まれたことについて、「中小企業者の事務負担は大幅に削減される。実務を踏まえた本会の要望が受け入れられた」と述べた。日税連の要望のうち実現した項目は2つある。1つは事務負担の軽減で、一定の条件を満たした少額取引については6年間にわたって帳簿のみで仕入税額控除できるようになる。もう1つはインボイス発行事業者となる免税事業者の負担軽減で、3年間にわたり納税額を売上税額の2割に抑えられる。神津会長は「今後も引き続き、経過措置の維持を関係各所に求めていく」とした。

◆「国税庁は徹底して旧統一教会を調べるべき」(12月18日、国民民主党の玉木雄一郎代表)――ツイッターで。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の幹部が信者からの献金を元手に米・ラスベガスでカジノに興じていたと一部週刊誌で報じられたことについて、「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為であり、マネーロンダリングや脱税の可能性もある。カネの流れを追うなら国税庁の調査が一番強力だ。徹底して調べるべきだ」と主張した。政府は不当な布教活動を行っている疑いがあるとして旧統一教会を調査しており、裁判所への解散命令請求も視野に入れている。玉木氏は「献金をカジノでの遊興に使うなど宗教法人とはいえず、解散命令の根拠になるだろう」と指摘した。

◆「大企業に税負担が偏る」(12月20日、経団連の十倉雅和会長)――記者会見で。2023年度与党税制改正大綱で盛り込まれた法人増税について、「中小企業への配慮が見られた一方で、大企業の負担がやや大きくなった印象だ」との見解を述べた。大綱では、所得が一定水準を超える事業者に対してのみ、法人税率4~4.5%を上乗せすることが決まった。政府によると、増税対象となるのは全事業者のうち収益力の高い6%程度になるという。増税によって生まれる新たな財源は防衛関係費に充てられる。十倉氏はかねてより「安全保障の財源は国民・社会全体で広く・薄く・偏らず負担するのが適切だ」と主張し法人増税をけん制していた。

気になるニュースのキーワード

防衛関係費

 防衛関係費とは、日本の国家予算のうち防衛力の整備に充てる経費のこと。政府は北朝鮮や中国を念頭に有事のリスクが高まっているとして防衛力を抜本的に強化する方針を掲げており、防衛関係費の大幅な増額を計画している。
 防衛関係費は第二次安倍政権の発足以降10年連続で増え続け、2022年度当初予算は5兆1788億円と過去最大に達した。使い道として最も多いのは自衛隊員の給与や退職金、食費などに充てる「人件・食糧費」の42.0%となっており、隊員の教育訓練や艦船・航空機の燃料、設備の修繕にかかる「維持費」が24.7%で続く。そのほか、新たな戦闘機や装備品を仕入れるための「装備品購入費」(15.8%)、基地のある自治体を支援する「基地対策費」(9.1%)などがある。
 政府は27年度までにNATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)を念頭に防衛関係費を増やすとしている。21年度の対GDP比は1.07%であり、目標達成にはこれまでの2倍近い財源が必要だ。新たな財源として、23年度与党税制改正大綱では法人税・所得税・たばこ税の3税の増税が盛り込まれた。さらに現在は、建設国債1.6兆円の発行も検討されている。
 ただ戦後の日本には、軍事費膨張が数多の戦禍を招いた反省から、巨額の財政赤字を公債で賄う一方で防衛関係費への充当は控えてきた歴史がある。

押さえておきたいIT用語

OCR

 OCRとは「光学的文字認識=Optical Character Recognition」の略語で、手書きの資料や印刷物から文字や数字を読み取り、コンピューター上のテキストデータに変換するITツールのこと。変換したテキストデータはワードやエクセル、会計ソフト、受発注ソフトなどさまざまな業務アプリで活用可能だ。改正電子帳簿保存法やインボイス制度など帳簿書類のデジタル化を促す税制改正が相次ぐなか、さまざまな会計ソフトで標準搭載されるようになっている。
 一般的なOCRの利用手順は、①紙の書類を撮影もしくはスキャンして画像データにする、②画像データ上で読み取りたい範囲を指定する、③読み取り機能を使って対象範囲をテキストデータ化する、④変換後のデータに間違いがないか目視で確認する――となっている。近年は、過去の入力内容や読み取りミスなどを学習できる人工知能(AI)との連携により、範囲指定の自動化や高精度な読み取りが可能となった「AI-OCR」も普及している。
 デジタル庁が管理する新たな電子請求書「デジタルインボイス」に対応した会計ソフトの多くでも、OCR機能は標準搭載されていく見通しだ。例えば弥生が開発を進めている「スマート証憑管理」では紙やPDFの請求書をOCR読み取りできるようにすることで、デジタルインボイス同様、仕訳を自動処理できるようになるという。

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