毎月更新!時事コラム

第1760号(1月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「防衛増税は多くの国民の理解を得て実現できた」(1月9日、自民党の麻生太郎副総裁)――福岡県直方市での講演で。2023年度税制改正大綱で防衛力強化を目的とした増税が決まったことについて、「もっと多くの反対があると覚悟していたが、多くの国民の理解を得て実現できた。国防に真剣に取り組んでいる政府の姿勢を評価していただいている」との見解を述べた。政府はロシアや中国を念頭に有事のリスクが高まっているとして防衛費の大幅な増額を計画しており、27年度には新たに1兆円超を確保するとしている。増額に向けて大綱では、法人・所得・たばこの3税を「24年以降の適切な時期」に段階的に増税する方針が盛り込まれた。

◆「少子化対策の財源として消費増税を検討する」(1月5日、自民党の甘利明前幹事長)――テレビ番組で。政府が少子化対策に充てる「子ども予算」について、「全国民に関わるもので、幅広く支える体制をつくらなければならない」と拡充の必要性を訴えたうえで、裏付けとなる財源については「消費増税も含め地に足をつけて議論しなければならない」と指摘した。子ども予算の拡充については、岸田文雄首相が年頭会見で「異次元の少子化対策」の実施を表明し、①児童手当など経済的支援の強化、②学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、③働き方改革の推進――の3点をテーマに掲げて将来的な倍増を前提に議論を進めていくと発表している。財源案として消費増税を強調した甘利氏の発言については、後日の記者会見で鈴木俊一財務相が「政府として具体的な議論が始まっているわけではない」と説明したが、消費税率の引き上げそのものについては否定せず、「必要な安定財源は今後幅広く検討していくことになるだろう」と述べるにとどめた。

◆「増税前に衆院解散もあり得る」(1月4日、岸田文雄首相)――年頭記者会見で。このほど閣議決定した防衛費増額に伴う増税の実施が衆院議員の任期満了以後になる可能性を踏まえ、「増税前に衆院の解散総選挙を実施し、国民の信を問うことになる可能性もあり得る」との見通しを話した。防衛費確保のための税制措置は大綱で「2024年以降の適切な時期」と示している一方で、現在の衆院議員の任期満了は25年10月となっている。

気になるニュースのキーワード

高経年マンション

 高経年マンションとは、おおむね築40年を超えて老朽化が進んだ中高層集合住宅のことを指す。高度経済成長期以降に建設されたマンションの多くが該当するようになっている。住民の高齢化や工事費の上昇などにより管理組合が修繕積立金を確保できず十分なメンテナンスを行えない結果、外壁の剥落や設備の不良、資産価値の暴落などが発生している。
 国土交通省によると高経年マンションは今後急速に増える見通しで、2018年末時点の81.4万戸から28年末には2.4倍の198万戸、38年末には4.5倍の367万戸に達するという。一方、工事費のコストが支払えないことなどを理由にすでに高経年マンションの37.3%で必要な修繕が行われていない状況にあり、国交省は「今後も多くの高経年マンションで適時適切な大規模修繕が実施できそうにない」としている。
 すでに一部の高経年マンションで廃墟化が進み始めている状況を受け、2023年度税制改正大綱では大規模修繕工事を促進するための税優遇が設けられることが決まった。
 大綱では、①築後20年以上が経過、②10戸以上、③長寿命化工事を過去に1回以上実施、④長寿命化工事に必要な積立金を確保、⑤23年4月から25年3月までに大規模修繕工事を実施――というすべてを満たすことを条件に、固定資産税を最大2分の1減免する税制優遇策が盛り込まれた。

押さえておきたいIT用語

QRコード

 QRコードとは、正方形型のモザイク模様で文字や数字などの情報を保存できる識別子のこと。従来活用されてきた縞模様の識別子「バーコード」の約20倍の情報量が詰め込める上、読み取りアプリを利用できるスマートフォンが普及したことを受け、消費者向けの決済アプリや事業者向け業務アプリなどで利用が広がりつつある。
 QRコードの作成は、事業者向けの専用のソフトウエアやインターネット上で公開されている無料アプリを通じて誰でも行うことができる。また、QRコードに保存された情報の読み取りも、専用のスキャナーやスマートフォンアプリで行える。
 QRコードが導入されている事例としては、工場の生産管理システムや物流倉庫の在庫管理システム、飲食店での支払いをスマートフォンで行える「QRコード決済アプリ」などがある。
 低コストで誰でも利用を開始できる手軽さからサービスの利用が広がる中、利便性の向上に向けて統一規格を定める動きが出始めている。たとえば日本では、決済アプリ用QRコードの国内統一規格「JPQR」の運用が2020年から始まった。従来は店舗が決済アプリごとに異なるQRコードを用意しなければならなかったが、統一規格の導入によりひとつのQRコードで運用できるようになった。

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