毎月更新!時事コラム

第1761号(1月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「政府は国民に『増税慣れ』させる魂胆だ」(1月6日、立憲民主党の泉健太代表)――記者会見で。少子化対策に充てる「子ども予算」の財源として消費税を増税する案が政府内で持ち上がっていることについて、「ただでさえ物価高で大変なのに、防衛費増額に伴う所得増税を決定しただけにとどまらず消費増税まで持ち出すとは。国民を増税慣れさせれば納得するだろうという高圧的な態度だ」と批判した。岸田首相は年頭の記者会見で子育て世帯に対する経済的支援の拡充や幼児教育・保育サービスの整備に向けた検討を加速させる「異次元の少子化対策」を発表したが、実現には新たに数兆円規模の予算を確保しなければならない見通しという。なお、同じ立民の枝野幸男前代表は昨年10月、「消費減税の提言は間違いだった。二度と減税とは言わない」と発言している。

◆「少子化対策に取り組むなら5000円配るより減税すべき」(1月10日、名古屋市の河村たかし市長)――記者会見で。東京都の小池百合子知事が少子化対策として都内の0~18歳を対象に1人当たり月5000円程度を給付すると発表したことについて、「配れるほどの現金が余っているならその分だけ減税すべき。強制的に税金を集めてから『私が分配して配ったる』という思想がそもそもよくない」と批判した。記者団から河村氏自身の施策について問われると、「市民の可処分所得を増やすための工夫をしてきた。歳出の見直しを徹底し、10年前よりも市民税など年間1200億円減税した」と説明した一方で、「歳出を見直して減税しても誰も褒めちゃくれない。補助金を作る方が『自分が関与してやった』という感じになるからかっこいいんですわ」と述べて小池都知事を皮肉った。

◆「消費増税は全く考えていない」(1月10日、自民党の菅義偉前首相)――記者会見で。政府・与党内で少子化対策の財源を消費増税で賄う案が出ていることについて「個人的には消費税で財源を賄うという案は全く考えていない」と否定した。ただ、菅氏は2020年の総裁選立候補時に「深刻な少子高齢化社会となっている以上、どんなに頑張っても人口減少は避けられない」としたうえで、「将来的には消費税率を10%超に引き上げざるを得ないだろう」との見通しを述べていた。

気になるニュースのキーワード

経営者保証改革プログラム

 経営者保証改革プログラムとは、経営者保証の解除を促すための施策をとりまとめた政府のロードマップだ。①スタートアップ・創業、②民間金融機関による融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス――の4つを重点分野に掲げ、経済産業省・財務省・金融庁が連携して取り組んでいくという。
 ①スタートアップ・創業では、経営者保証不要の創業融資制度を新設する。創業5年以内のスタートアップ企業を対象に3500万円まで全額保証かつ無担保で借りられるようにする。
 ②民間金融機関による融資については、経営者保証を求めるための手続きを厳格化する。事業者や保証人に対して経営者保証が必要な理由や解除するための要件を具体的に説明するよう金融機関に義務付け、説明の記録や件数を金融庁に報告させる。さらに、金融庁に「経営者保証相談窓口」を設置して経営者からの相談を受け付け、必要に応じて金融機関に調査に入る。
 ③信用保証付融資では、法人から代表者への貸し付けがない、決算書類を金融機関に定期的に提出しているといった「経営者の取組次第で達成可能な要件」を満たす事業者について、保証料の上乗せ負担により経営者保証を解除できるようにする。
 ④中小企業のガバナンスについては、経営者保証解除の前提となるガバナンスについて、経営者と金融機関の双方が活用できる実務指針の策定・運用を行う。

押さえておきたいIT用語

量子コンピューター

 量子コンピューターとは、「量子力学」と呼ばれる物理学の理論を応用した次世代の計算機のこと。従来のコンピューターで約1万年かかる問題を3分程度で解けるなど圧倒的な情報処理能力を持っているため、投資判断のシミュレーションや新素材・薬の開発などで高い性能を発揮すると期待を集めている。米ボストン・コンサルティング・グループによれば、2040年までに最大8500億ドル(約110兆円)の経済的価値を生む見込みだ。
 実用化に向けた研究は米中が主導している。米国では、21年に開発拠点を新設したアマゾン・ウェブ・サービスや、29年までに量子コンピューターの完成形を作るとしているグーグル、日本に実機をもつIBMなどのIT大手が開発を進めている。また近年は中国が急速に技術力を高めており、中国科学技術大学などが最先端の研究を行うようになっている。
 日本では理化学研究所が量子コンピューターの実験用国産初号機を今年度中に整備する計画だ。日立製作所や富士通、NTTなども開発に注力する方針を掲げている。
 膨大な経済効果をもたらすとされる量子コンピューターだが、社会実装にはリスクもある。たとえば従来のコンピューターでは突破が困難だったインターネットセキュリティでも、量子コンピューターを用いられれば瞬時に攻略されてしまうおそれがある。

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