毎月更新!時事コラム

第1766号(3月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「復興財源が減ることはない」(2月9日、鈴木俊一財務相)――衆院本会議で。防衛増税を実施する代わりに復興特別所得税率を引き下げる政府案ついて、野党側から「復興財源が少なくなるのではないか」とただされたのに対し、「減ることはない。課税期間の延長により十分に確保できるようにする」との見通しを示した。政府はウクライナ情勢や台湾有事を念頭に防衛力の抜本的な強化を目指しており、不足している年間1兆円超の財源は法人税・所得税・たばこ税の増税で賄うとしている。このうち所得税については、防衛財源を確保するための1%の付加税を新たに導入する一方で、復興税率を1%引き下げる計画だ。なお、現在2037年までとなっている復興税の実施期間をどの程度延ばすのかは未定という。

◆「子育て世帯の過半数が減税を求めている」(2月9日、子育て支援拡充を目指す会の工藤健一代表)――内閣府に提出した要望書で。児童手当の拡充などを掲げる岸田政権の「異次元の少子化対策」について、「対策として十分とは言えない」と指摘した。異次元の少子化対策は、①児童手当など経済的支援の強化、②学童保育や病児保育、産後ケアといった支援拡充、③働き方改革の推進―の3つを施策の柱としており、今のところ政府は児童手当の所得制限撤廃に向けた議論に注力している状況だ。ただ同会が子育て中の5300世帯を対象に実施したアンケートによると、政府に求める施策として最も多かったのは「減税」で、51.7%と過半数を占めた。工藤氏は「子どもの扶養控除の復活など、継続的な負担軽減につながる減税策を早急に検討してほしい」と求めた。

◆「腹が立ったので市税の滞納情報を削除した」(3月1日、水戸市の元職員)――市の内部調査で。市税の滞納情報を許可なく削除したとして2月28日付で懲戒免職となった元職員が、「上司の指導に腹が立ってやった」と話していたと水戸市が公表した。元職員は昨年12月、上司からコロナ対策の一環としてマスクを着用するよう指導されたことに憤りを感じ、気晴らしのためにサーバー上の共有ファイルから滞納者への対応状況をまとめたデータを削除していたという。市は「削除されたデータは対応の進捗状況を管理するためのもので業務に支障はない」とした。

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コロナ借換保証

 コロナ借換保証とは、コロナ禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済負担軽減を目的として1月10日にスタートした政府の新たな保証制度だ。金融機関による伴走支援を受けることなどを条件に、借り換え時の信用保証料が引き下げられる。
 ゼロゼロ融資の保証料は通常0.85%だが、コロナ借換保証を活用すると原則として0.2%まで軽減される。保証限度額は1億円で、最長10年にわたって保証を受けられる。また、元本の返済については5年を上限に猶予される。
 利用するための条件として、①突発的災害の被災事業者として「セーフティネット4号」の認定を受けている、②業況の悪化した中小事業者として「セーフティネット5号」の認定を受けている、③直近1カ月の売上高が前年同月比5%以上減少している、④直近1カ月の売上高総利益率や営業利益率が前年同月比5%以上減少している――のいずれかを満たさなければならない。また、金融機関に経営行動計画書を提出したうえで継続的な伴走支援を受ける必要もある。
 ゼロゼロ融資は昨年9月末に終了した。これから問題となるのはゼロゼロ融資の返済苦だ。政府によると返済開始時期は今年7月から来年4月に集中するという。
 なおコロナ借換保証は、ゼロゼロ融資以外の借り換えでも一定の条件を満たせば利用できる。

押さえておきたいIT用語

データサイエンス

 データサイエンスとは、IT(情報技術)の発展により得られるようになった膨大なデータを分析し、ビジネス上の課題解決を目指す研究のこと。データの分析に当たり、プログラミングや機械学習、統計学、数学といった学問を複合的に用いる点が特徴だ。データサイエンスを専門とする技術者「データサイエンティスト」の需要は世界的に高まっており、日本政府も2025年までに年間25万人を育成する目標を掲げている。
 データサイエンスが活用された事例としては、従来2時間かかっていた発注作業を商品データや顧客データの分析により10秒まで短縮した流通大手ワークマンの社内システムや、大量の画像解析によって職人並みの〝マグロの目利き〟を可能とした電通のAIサービス「匠テック」などがある。
 あらゆる分野でデータ分析の需要が高まる中、データサイエンスの市場は急速に拡大している。米国の市場調査会社KBVリサーチによると世界の市場規模は2021年から年間13%成長し、27年には4480億ドル(約61兆円)に達するという。
 日本政府は2019年に策定した「AI戦略」で、25年までにすべての大学生や高等専門学校生に初歩レベルのデータサイエンスを身に着けさせるとの目標を示した。そのうち年間25万人は技術者として通用するレベルに、年間2000人は「世界で活躍できる人材」に育てるとしている。

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