毎月更新!時事コラム

第1768号(4月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「インボイスがなくても仕入税額控除していい」(3月17日、自民党の西田昌司参院議員)――ユーチューブで。10月から始まるインボイス制度について、「免税事業者のみなさん、まったく影響ないので安心してください」との持論を展開した。制度導入後は年収1千万円以下の免税事業者への発注分について消費税の仕入税額控除ができなくなるため、新たな負担を発注者か受注者のいずれかが負う必要が生じる。そのため企業間取引から免税事業者が淘汰される恐れがあるが、西田氏は「膨大なインボイスを税務職員が一枚一枚チェックするのは非現実的」「調査に入られてもまず否認されない」としたうえで「インボイスがなくても仕入税額控除して問題ない。発注側も受注側も従来通りで大丈夫だ」と主張した。西田氏の見解についてSNS上では、同調する意見がある一方で「請求書不備を理由に否認された事例もあり100%大丈夫ではない」と指摘する声もある。西田氏は税理士の資格を保有している。

◆「優遇税制を外して空き家の処分を促す」(3月3日、斉藤鉄夫国交相)――記者会見で。放置されている空き家について固定資産税の優遇措置を外せるようにする新制度を閣議決定したことについて、「全国的に増え続けている〝空き家問題〟に対処するための措置だ。税負担を増やして所有者に処分を促したい」と説明した。空き家を含め住宅は固定資産税を最大6分の1まで減額できるようになっており、例外的に倒壊のおそれがあるなど危険性が高い「特定空き家」は優遇対象から外されている。新制度ではさらに、将来的に特定空き家になるおそれがある「管理不全空き家」についても優遇措置を解除できるようにする。

◆「首長の大半がふるさと納税制度の続行を望んでいる」(3月19日、読売新聞)――全国自治体首長アンケートで。廃止や見直しを求める声もある「ふるさと納税制度」について全国1606自治体の首長に対し意見を求めたところ、91%が「続けるべきだ」と回答したという。理由としては、「返礼品の提供はPR効果がある」(92%、以下複数回答)、「自治体の収入増になる」(81%)などが挙がった。ただ、住民税の控除などにより財源が流出する自治体もあり、22年度に571億円の減収となった東京都は国に制度の見直しを求めている。

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空家対策特別措置法

 空家対策特別措置法とは、空き家の所有者に対する市区町村の権限を示した法律で、倒壊リスクが高い建物などを「特定空き家」と定めて建物内の調査や撤去・修繕の命令、固定資産税の住宅用地特例の解除などを行うことを認めている。国会では現在、将来的に特定空き家になるおそれがある「管理不全空き家」についても新たに対象に加える改正案の検討が進められている。
 特定空き家と認定されるのは、①そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態、②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態、③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態――にある家屋と定められている。市区町村によって細かな判断は異なるものの、建物が傾いている、土台が腐食しているといった状態だとおおむね特定空き家と扱われる。
 改正案では、特定空き家の条件を満たしていない管理不全空き家についても、必要に応じて改善の指導・勧告や固定資産税の優遇解除などを行えるようにする見通しだ。
 空き家の増加は全国的な課題になっている。総務省によると、「居住目的のない空き家」は最新の18年時点で349万戸あり、直近20年で1.9倍に増えた。

押さえておきたいIT用語

テレグラム

 テレグラムとは、メッセージ送受信や音声通話、ファイル交換などを行える「チャットツール」の一種で、2013年にロシアで開発されたアプリだ。総利用者数は10億人に上っており、日本国内でポピュラーなチャットツール「ライン」の2億人をはるかにしのぐ人気を誇る。通信セキュリティの高さが〝ウリ〟だが、犯罪に悪用されるケースも多数報告されており社会問題になっている。
 テレグラムは通信内容を保護するさまざまな機能を実装している。まず、やりとりしたメッセージはすべて暗号化し、仮に通信傍受されても読み取られないようになっている。また、自分のアプリ上でメッセージ履歴を削除すると相手のアプリ上でも消去される点も特徴だ。相手がスクリーンショットや画面録画をできないように制限をかけることもできる。運営者が情報開示に消極的なことでも知られており、2018年にはロシア政府が「児童ポルノや麻薬取引の温床になっている」として通信記録の提供を求めたが、テレグラム側が拒否して話題になった。
 ただ、世界中で犯罪に悪用されているのも実情だ。日本全国で殺人や強盗を繰り返した「ルフィグループ」もテレグラムを用いていた。また未成年者を含む約70人もの女性に対する性的暴行をオンライン配信し注目を集めた韓国の「n番部屋事件」でも利用された。中国やイランなど利用を禁じる国もある。

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