毎月更新!時事コラム

第1769号(4月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「空き家税の導入で物件の市場流通を促す」(3月24日、京都市の門川大作市長)――記者会見で。空き家や別荘など人が住んでいない住宅に課税する「非居住住宅利活用促進税(空き家税)」の新設について総務相の同意を得られたと発表し、「空き家の放置を防いで市場流通を促していきたい」との見通しを語った。税収は年間9.5億円増える見込みだが、門川氏によれば「最大の目的は財源確保ではなく子育て世帯の市外流出を防ぐこと」という。景観保全のため建物の高さに規制を設けている同市では住宅の供給不足が課題となっている。空き家の所有者に対する税負担を重くすることで、物件の売却や賃貸を促進する狙いだ。早ければ2026年度にも導入するという。市によると、空き家の所有者に対し自治体が独自の税金を課すのは全国初。

◆「予備費の利用は適切だ」(3月24日、鈴木俊一財務相)――記者会見で。2022年度予算に計上していた予備費を物価高対策として支出することについて、「一刻も早く支援する必要があり、適切な決定だ」との見解を示した。予備費は国会の議決を経ずに閣議のみで使途を決められる特殊な予算だ。以前は支出額が抑えられていたものの、コロナ禍をきっかけに巨額の計上が常態化しており、22年度末は総額2.2兆円と従来の10倍超に上っている。野党議員からは「財政民主主義の軽視だ」など批判の声が上がるが、鈴木氏は「予算編成時にこれほどの物価上昇を見通すのは困難だった」とし、予備費の活用は適切とした。

◆「6月までに子ども予算倍増に向けた大枠を示す」(3月28日、岸田文雄首相)――記者会見で。約114兆円と過去最大になった2023年度予算について、「新しい資本主義と防衛力の強化、子ども・子育て支援という政策の3つの柱を実現するために必要だ」と説明した。このうち「子ども・子育て支援」にかかる予算については、①出産育児一時金の50万円への引き上げ、②妊娠から出産、子育てに至る一貫した伴走支援、③10万円相当の出産・子育て応援交付金の新設―などに充てるとしたうえで「将来的な予算倍増を目指す」としている。具体的な政策や財源については子ども家庭庁が発足する4月以降に検討し、「『骨太の方針』を公表する6月までに大枠を示す」との見通しを語った。

気になるニュースのキーワード

管理不全空き家

 管理不全空き家とは「空き家対策特別措置法」による空き家の区分のひとつで、所有者による管理が不十分な状態が続いており、将来的に建物の倒壊や衛生状態の悪化など周辺環境に実害をもたらすおそれのある家屋のことを指す。今のところ管理不全空き家を放置していても所有者にペナルティーはないが、政府は建物内の調査や撤去・修繕の命令、固定資産税の住宅用地特例の解除などを市区町村長の権限で行えるようにする改正法の成立を目指している。改正案は3月に閣議決定しており、今通常国会で成立する見通しだ。
 管理不全空き家の詳細な要件は未確定だが、改正案によると「放置すれば『特定空き家』になるおそれがある場合に指定する」という。特定空き家とは、①倒壊等著しく保安上の危険となるおそれがある、②著しく衛生上有害となるおそれがある、③著しく景観を損なっている、④その他周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている――状態にある家屋のこと。これまでは「建物が傾いている」「土台が腐食している」といった深刻な状況でなければ指定を受けることはなかったが、改正法により管理不全空き家の区分が新設すれば、「窓が割れている」「雑草が生い茂っている」など不備が軽微な段階でも行政指導などの対象になる。

押さえておきたいIT用語

対話型AI

 対話型AIとは、利用者がテキスト入力した質問や指示に対してコンピューターが会話形式で自動応答するプログラムのこと。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が「インターネットの登場と同じくらい我々の生活に変革をもたらすだろう」と評するなどIT業界で注目を浴びている新技術だ。「会話型AI」「AIチャットボット」とも呼ばれる。
 これまで一般的に利用されてきた自動応答プログラム「チャットボット」と比べ、対話型AIは性能が抜本的に向上している。チャットボットはあらかじめプログラムされた定型処理しかできないが、対話型AIではインターネット上にある大量のテキスト情報の分析によりあらゆる要求に対して回答を導き出せるうえ、プログラミングや論文執筆などの創作活動も可能だ。
 人工知能を専門とする米研究団体「OpenAI」が昨年11月に公表した対話型AIサービス「ChatGPT(チャットジーピーティー)」のコミュニケーションの自然さや対応範囲の広さ、精度の高さなどが世界的に話題となり開発競争が加速している。新たな対話型AIサービスとして、米国の検索エンジン大手グーグルの「Bard(バード)」や中国の検索エンジン大手バイドゥの「文心一言(ウェンシンイーイェン)」などが相次いでリリースされた。
 ただ、対話型AIの導き出す回答はあくまでインターネット上の情報をもとに生成されるためフェイク情報が含まれることもあるなど課題もある。

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