毎月更新!時事コラム

第1773号(5月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「社会保険料を子どもに割く余地はない」(5月7日、加藤勝信厚生労働相)――テレビ番組で。少子化対策の財源について「できるかぎり既存の保険料収入を充てるべき」とする自民党の茂木敏充幹事長の主張について、加藤氏は「社会保険料の財源は年金や医療でいっぱいいっぱいであり、子ども政策に持っていく余地はない」と否定的な考えを示した。新たに必要となる財源は国民に負担を求めるべきとした上で、「社会保険料を増やすべきなのか、それとも増税すべきなのか、よく議論して決めていきたい」とした。政府は出産一時金の引き上げや出産・子育て応援交付金の新設といった子ども政策の実行に向け「将来的な予算倍増」を目指しており、具体的な財源については「骨太の方針」を公表する6月末までに取りまとめる計画だ。

◆「ふるさと納税専門の職員を年収1千万円で採用した」(5月9日、三重県四日市市の森智広市長)――記者会見で。ふるさと納税の寄付受入額を増やす「戦略プロデューサー」として広告大手・電通の元コピーライターである日下幸一郎氏を採用したと発表し、「民間の経験・ノウハウを十分に発揮してもらい、起死回生となるような一手を期待したい」と展望を語った。四日市市ではふるさと納税の受入額が少ないことによる税財源流出が問題となっており、年間約8億円の赤字に陥っている。2017年には返礼品の開発を担う「ふるさと納税対策本部」を設置するなど改善を図ってきたが十分な成果が挙がらず、昨年度からふるさと納税のPRや商品開発の専門職員を年収1千万円の待遇で募集していた。採用された日下氏は「四日市市は他の自治体と比べてPRのしかたやマーケティングが若干弱い」とした上で、「地域の人が気づいていない魅力を発掘し、全国に広めていきたい」と意気込みを語った。

◆「軍拡増税を阻止すべき」(5月3日、社民党の福島瑞穂党首)――市民団体の集会で。防衛財源の拡充を目指して政府が増税を決めたことについて、「生活や雇用が壊れて苦しんでいる人たちがいる中でなぜ軍拡大増税を優先する必要があるのか」と批判した。政府は2023~27年度の防衛費を新たに14.6兆円増やす計画で、このうち3兆円程度を法人税・所得税・たばこ税の増税で賄うとしている。

気になるニュースのキーワード

改正電帳法の猶予措置

 改正電子帳簿保存法の猶予措置とは、2021年に施行した改正法への対応期限を事実上引き延ばす救済措置のこと。23年度税制改正で盛り込まれた。
 改正法により、電子データで受け取った請求書や領収書などの税務関係書類については、一定の要件を満たしたシステム上のデータファイルに保存しておかなければならなくなった。従来のように紙に印刷して管理しているだけでは税務書類としては認められず、「仕入税額控除の否認や、青色申告の承認取消し等の対象となる可能性がある」(国税庁)という。
 ただ、保存要件の複雑さやシステムの導入コストなどを理由に多くの事業者で対応が進まなかったことを受け、23年末までの時限的な救済策として「宥恕措置」が設けられた。改正法の要件を守っていなかったとしても、「やむを得ない事情」があり、税務調査時にデータを提出できれば法律違反にならなくなった。
 それから1年が経過した段階でも状況が改善しなかったため、23年度税制改正では宥恕措置を実質的に恒久化する「猶予措置」の導入が決まった。改正電帳法の要件を守っていなかったとしても、「相当の理由」があり、税務調査時にデータを提出できれば法律違反にならないという。相当の理由がどの程度まで認められるかは未確定だ。

押さえておきたいIT用語

リーチサイト

 リーチサイトとは、著作権を無視してアニメや映画、音楽といったコンテンツを不正公開しているさまざまな「海賊版サイト」へのリンクを集めたウェブサイトのこと。リンクを多数掲載することでサイトの閲覧数を集め、広告収入を得る仕組みが主流となっている。海賊版サイトとともに権利者の収益を事実上〝横取り〟するスキームとして社会問題になっており、警察は集中的な取り締まりを実施している。
 5月8日には京都府警が有名リーチサイト「映画の無料動画で夢心地」の運営者ら4人を逮捕した。『仮面ライダーリバイス』や『呪術廻戦0』などの映画作品を違法アップロードしている海賊版サイトへのリンクを多数公開し、著作権を侵害していた疑いだ。京都府警によると運営者らは「法令に触れると思わなかった」と供述しているという。
 リーチサイトは違法コンテンツそのものを公開しているわけではないため従来は規制されてこなかったが、2020年10月施行の改正著作権法により運営者に罰則が設けられた。「侵害コンテンツへの誘導を図っている」とみなされると3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科される。
 なおリーチサイトの利用者には原則として罰則はないが、リンク先の海賊版サイトのコンテンツを「何度も継続的にダウンロード(保存)」していると、2年以下の懲役や200万円以下の罰金の対象となる。

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