毎月更新!時事コラム

最近の税に関するコトバ集
◆「初めての納税ということでありますので、納税者に寄り添った形で対応する」(1月30日、鈴木俊一財務大臣)――記者会見で。インボイス制度が昨年10月に導入され、新たに課税事業者となった事業者による初めての消費税申告が行われようとしている。鈴木大臣は「初めてのことだから、事務的なミスや思い違いも起こりうる」としたうえで、申告ミスについては「是正を中心に高圧的にならないよう納税者の目線に立ちたい」とコメントした。なお、個人事業者の2023年分の消費税および地方消費税の確定申告書提出期限は、24年4月1日となっている。
◆「納税者に信頼される国を作らないと」(1月29日、河村たかし名古屋市長)――記者会見で。裏金事件を収支報告書の訂正で済ませようとする自民党の対応について、「税金に対して信頼感がない。ちゃんとしていなくても、(間違いが)見つかったら修正します(と言うだけ)。こんなことを公然と認める国ではダメだ」とコメントした。続けて「派閥が問題ではなく、根底にある問題は議員の稼業化にある。職業になってしまったから『長いこと勤めたい』と考えるようになり、そのためにグループを作って、『赤信号みんなで渡れば怖くない』ということになっている」と私見を述べた。
◆「税金逃れをしているわけではなく、公益性でやっている」(1月30日、河津桜まつり実行委員会の山田和子会長)――記者会見で。伊豆半島の河津町で毎年2月に開催されている「河津桜まつり」では、過去の露店出店料や駐車場利用料が消費税の課税対象にあたる可能性があるにもかかわらず未納であったことが問題となっている。「河津桜まつり」の過去5年間の売り上げは、コロナ禍の21年を除いて2800~3900万円だった。課税売上高は1000万円を超えると消費税の課税対象となる。課税対象ではないかとの指摘を受けて河津町が税務署に確認をとったところ、一般的には駐車場の売り上げには消費税が発生するとの説明を受けた。しかし、課税対象にあたるか結論はでなかったという。実行委員会は仮に課税対象となった場合に消費税を納めるのか対応を明らかにはしておらず、課税対象であるのかという議論は先送りにして、「河津桜まつり」は予定通り2月1日に開催された。

気になるニュースのキーワード
セキュリティー・クリアランス制度
経済安全保障分野の機微情報に触れる権限を付与する制度。主要7カ国(G7)で日本は唯一の未整備国となっており、今国会に法案が提出される予定。
資格を付与するにあたっては、政府が個人を調査するほか、その人が属する企業の情報管理体制なども審査して適格性を確認する。資格を与えられた人は、情報を管理する特別なルールによって厳格な守秘義務が課せられ、漏洩させた場合には厳罰を科されることになる。政府の職員や軍事機密の技術を扱う民間人が対象で、政府案では「懲役10年以下」とされている特定秘密保護法の規定と「同様の水準が適当」としている。人工知能や、宇宙、サイバーなどの情報が流出すれば安全保障上の脅威となるため、それを防ぐ目的がある。
アメリカなどでは機密情報を3段階に分けており、①トップシークレット(機密):例外的に重大な損害になる情報、②シークレット(極秘):重大な損害になる情報、③コンフィデンシャル(秘):損害になる情報――となっている。セキュリティー・クリアランスの資格自体も3段階に分け、どの段階の機密にまでアクセスが許されるかを明確にしている。
日本が他の先進国と同等の情報保全制度を整備すれば、民間企業や国をターゲットにしたサイバーテロの情報を諸外国と共有できるようになる。日本のサイバーセキュリティー向上に対する期待が高まっている。

押さえておきたいIT用語
デジタルノマド
ITを活用して世界各地を移動しながら働く人のこと。コロナ禍を経て、欧米の若者を中心に新たな働き方として広がっている。「ノマド」は英語で遊牧民を意味し、デジタルノマドは訪れた国のホテルなどに滞在しながら、インターネットを介してソフトウェア開発やマーケティングといった仕事に従事している者を指す。フリーランスや海外企業に所属していることが多く、世界に約3500万人いて、市場規模は約110兆円に上るという調査結果も存在する。
政府は2月2日、デジタルノマドを対象に、「特定活動」の在留資格を与えることを発表した。一定の要件を満たせば6カ月の滞在と就労を認める。その要件は、①ビザ免除の対象国で、日本と租税条約を締結する国・地域の国籍を持つ、②日本滞在期間を含む年収が1000万円以上、③民間医療保険に加入――などを設定している。出入国在留管理庁によると、①の要件を満たすのは現在、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾など49カ国の国と地域となっている。なお、滞在はデジタルノマドだけでなく、その配偶者や子どもも許可されるという。新制度は、海外企業から報酬を得ているデジタルノマドが日本で活動することを想定している。
政府は優秀な外国人人材を日本に誘致し、ビジネス目的の訪日客による消費拡大を狙っている。
